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地中における地下室の基礎等の地中障害の存在を瑕疵と認め207万1400円の賠償義務を認めた事例

以下の事例のように、土地の売買契約締結後に、地中に、建物コンクリート基礎といった地中埋設物が存在することが判明した場合は、買主は、売主に対し、多額の損害賠償請求をすることができる可能性があります。

この事案では、重要事項説明書には、「当該物件に従前建物の基礎部分が存在します。」と記載されていましたが、それでも売主の瑕疵担保責任は免責されませんでした。このように、裁判所は、土地の売買契約の解釈においては、買主側を保護する傾向にありますので、土壌汚染又は地中埋設物に関する売主の瑕疵担保責任を免責しようとする場合には、契約書の内容のみならず相手方との交渉方法も含めて細心の注意を払う必要があります。そのため、専門家の法的アドバイスは不可欠でしょう。

なお、買主は、瑕疵の存在を理由として土地の売主の瑕疵担保責任を追求する場合、以下の期間制限に服することになりますのでご注意ください。

  • ① 土地の引渡しから10年(ただし商行為の場合は5年)で時効にかかります。
  • ② 商人間の売買では、買主は、土地引渡し後6か月以内に瑕疵の原因となる土壌汚染や地中埋設物を発見し、売主に通知する必要があります。
  • ③ 土壌汚染や地中埋設物の発見から1年以内に損害賠償請求をする必要があります。
裁判例 東京地判平成9年5月29日判タ961号201頁
事案の概要 Aは、Bより土地を4億888万8000円で購入した。その後、同土地に建物コンクリート基礎が埋設されていることが判明した。同土地の売買契約書には、「地中障害が発生した場合は、Bの責任と負担で解決する。但し、後記建物基礎の部分については、Aの責任と負担で解決する。」旨の条項がある。後記建物とは、本件土地上にあった建物のことであるが、本件土地から発見された建物コンクリート基礎は後記建物の以前に存在した従前建物に関するものである。そこで、Aは、Bに対し、上記の売買契約の特約に基づき撤去費用等4663万9300円の損害の賠償等を求めた。
判決の概要 Bに撤去費用2987万円の賠償義務を認めた。なお、本件では、重要事項説明書に、「当該物件に従前建物の基礎部分が存在します。」との文言が記載されており、Bは、この記載を主たる根拠として、地中障害についてはAの負担とすることが合意されていたと主張した。裁判所は、この点について、契約当時の交渉経緯等を考慮し、上記の重要事項説明書の文言は、通常の布基礎程度のものはAの負担とするとの趣旨を述べたものにすぎず、予想外の大規模な基礎があった場合はBが負担すべきと判断した。
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