土壌汚染に強い弁護士トップ > 過去の裁判例 > 売主の瑕疵担保責任を認めた裁判例 > 地中における鉛及び油分の存在を瑕疵と認め5000万円の賠償義務を認めた事例
以下の事例のように、土地の売買契約(以下の事例では信託受益権の譲渡契約)締結後に、地中に、環境基準値を超える鉛や油などによる土壌汚染が存在することが判明した場合は、買主は、売主に対し、多額の損害賠償請求をすることができる可能性があります。
買主が売主に対して瑕疵担保責任に基づき損害賠償請求をするには、瑕疵が「隠れた瑕疵」でなければなりません。「隠れた」とは、以下の二つを意味します。
この事案では、買主側には、目的物件において以前車両の解体・販売・整備が行われていたことや土地に汚染実績や地中障害物が存する可能性があることは開示されており、買主側としても、土地に土壌汚染の可能性があること自体は認識していました。このような事案であっても、実際に土壌汚染が発見されれば、それは「隠れた瑕疵」にあたるとして売主は免責されない可能性があるのです。
なお、買主は、瑕疵の存在を理由として土地の売主の瑕疵担保責任を追求する場合、以下の期間制限に服することになりますのでご注意ください。
裁判例 | 東京地判平成18年11月28日ウエストロー・ジャパン |
---|---|
事案の概要 | Aは、Bより土地の信託受益権を6億5000万円で譲渡した。その後、同土地に、土壌汚染対策法5条、同法施行規則18条2項の基準値を超える鉛、廃棄物の処理及び清掃に関する法律12条1項、同法施行令6条1項4号イ(1)(ロ)、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令第6条1項4号に規定する油分を含む産業廃棄物に係る判定基準を定める省令1条1号に海洋投棄基準を超過する油分が存在していることが判明した。Aは、Bに対し、瑕疵担保責任に基づき汚染土壌処理費用等1億479万円の損害の賠償を求めた。 |
判決の概要 | 土地に上記の鉛や油分による土壌汚染の存在は、土地の瑕疵にあたるとして、Bに撤去費用5000万円の賠償義務を認めた。なお、Bは、目的物件において以前車両の解体・販売・整備が行われていたことや土地に汚染実績や地中障害物が存する可能性があることはAに開示されていたこと等から、Aは、そもそも瑕疵の存在を知っていたかあるいは過失があったと主張した。しかし、裁判所は、Aにおいて、土地に土壌汚染の可能性があること自体は認識していたものの、土壌汚染の有無自体は、調査しなければ判断することができず、Aが土壌調査をすることができるのは、譲渡契約締結後であるから、Aには契約締結の際に過失があるとは認められないと判断した。 |