土壌汚染に強い弁護士トップ > 過去の裁判例 > 売主の瑕疵担保責任を認めた裁判例 > 地中における建物の基礎、杭等の存在を瑕疵と認め1億1550万円の賠償義務を認めた事例
以下の事例のように、土地の売買契約締結後に、地中に、各種の基礎や杭等の地中埋設物が存在することが判明した場合は、買主は、売主に対し、多額の損害賠償請求をすることができる可能性があります。以下の事案のように、建設会社の解体工事において、地中に大量の地中埋設物が残置されるケースは珍しくないため、売主・買主共に注意が必要です。
なお、買主は、瑕疵の存在を理由として土地の売主の瑕疵担保責任を追求する場合、以下の期間制限に服することになりますのでご注意ください。
裁判例 | 山口地判平成24年1月31日判例地方自治360号74頁 |
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事案の概要 | Aは、Bの所有地(遊園地跡地)を国立病院の移転用地とするため、下関市及び同市土地開発公社を介して、同土地を購入した。Bは、同土地引き渡し前に、建設会社に依頼して、3億6225円をかけて同土地上の構築物の解体工事を実施した。しかしながら、その後、Bが地中埋設物の調査を行なったところ、地中埋設物(ジェットコースターの基礎、屋外プール、ボーリング場の杭、スケートリンクの基礎、底盤等)が広範囲にわたって存在することが判明した。Aは、将来の病棟の増改築の場合に問題を残さないため、建物基礎部分のみならず敷地全体の地中埋設物を撤去することとし、撤去工事費用として1億1550万円を支払った。そこで、Aは、直接の売主となる下関市に対し、同市土地開発公社は、Bに対し、それぞれ損害の賠償を求めて訴訟を提起した。 |
判決の概要 | 買主としては、病院建設の支障となるような地中埋設物が存在しないと認識していたとしてもやむを得ないとして、上記の地中埋設物を瑕疵にあたると判断した。そこで、下関市には、Aに対する、敷地全体の地中埋設物の撤去工事費用1億1550万円の賠償義務を認めた。他方、下関市土地開発公社のBに対する損害賠償請求については、土地引き渡しから5年の経過によって時効消滅していると判断された。 |