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地中における隣地建物の基礎の越境、鉛、松杭、及びコンクリートガラの存在を瑕疵と認め1881万1700円の賠償義務を認めた事例

以下の事例のように、土地の売買契約締結後に、地中に、鉛等の土壌汚染や、コンクリートガラ、松杭等の地中埋設物が存在することが判明した場合は、買主は、売主に対し、多額の損害賠償請求をすることができる可能性があります。以下の事案では、買主が不動産取引の専門的知識を有する大手不動産業者であるにもかかわらず、売主に多額の損害賠償責任が認められております。

なお、買主は、瑕疵の存在を理由として土地の売主の瑕疵担保責任を追求する場合、以下の期間制限に服することになりますのでご注意ください。

  • ① 土地の引渡しから10年(ただし商行為の場合は5年)で時効にかかります。
  • ② 商人間の売買では、買主は、土地引渡し後6か月以内に瑕疵の原因となる土壌汚染や地中埋設物を発見し、売主に通知する必要があります。
  • ③ 土壌汚染や地中埋設物の発見から1年以内に損害賠償請求をする必要があります。
裁判例 東京地判平成24年12月13日ウエストロー・ジャパン
事案の概要 A(大手不動産業者)は、Bらより、マンション建築目的で土地等を5億5000万円にて購入した。その後、隣地建物の基礎が60センチメートル前後越境して設置されていたことが判明した。また、土壌中から、松杭26立方メートル、コンクリートガラ4立方メートル、東京都の「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例」の汚染土壌処理基準所定の基準値を超過する鉛による土壌汚染が検出された。そこで、Aは、Bらに対し、損害の賠償を求めて訴訟を提起した。
判決の概要 上記の越境、松杭、コンクリートガラ、及び鉛による土壌汚染があることは、いずれもマンション建築用地として備えるべき性質を欠くに至らせるものとして瑕疵にあたると判断した上、Bに、越境による土地の経済的価値の下落分500万円、松杭やコンクリートガラ等の撤去工事費用137万5500円、及び鉛による土壌汚染処理費用1243万6200円の合計1881万1700円の賠償義務を認めた。なお、Aは大手不動産業者であるものの、これらの存在を想定した調査を行なう義務まではなく、越境等の存在を知らなかったことについてAに過失はないと判断した。
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