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土壌汚染に強い弁護士トップ > FAQ > 瑕疵の発見について > 購入した土地に土壌汚染・地中埋設物があることが発覚しましたが、購入の際に受領した重要事項説明書をよく確認したところ、土壌汚染・地中埋設物があると記載されていました。この場合売主に除去費用を請求することはできませんか。

Q14.購入した土地に土壌汚染・地中埋設物があることが発覚しましたが、購入の際に受領した重要事項説明書をよく確認したところ、土壌汚染・地中埋設物があると記載されていました。この場合売主に除去費用を請求することはできませんか。

請求できない可能性が高いと考えられます。

解説

買主が売主に対して瑕疵担保責任に基づき損害賠償請求をするには、瑕疵が「隠れた瑕疵」でなければなりません。「隠れた」とは、以下の二つを意味します。

  • ① 瑕疵が表見しておらず、一般人の見地から容易に発見できないこと(大判昭和5年4月16日民集9巻376頁)
  • ② 買主が当該瑕疵につき善意・無過失である、すなわち、買主が当該瑕疵を知らず、かつ、知り得ないこと(大判大正13年6月23日民集3巻339頁)

したがいまして、土地の地表を見れば瑕疵の存在が分かってしまうような場合や、売主から交付を受けた書類、たとえば、重要事項説明書や土壌汚染調査報告書等の各種報告書等に、土壌汚染や地中埋設物が存在する旨の記載があれば、「隠れた瑕疵」はないということになりますから、買主が売主に瑕疵担保責任に基づいて損害賠償請求をすることはできなくなります。このような場合、買主は、売主に対して、瑕疵担保責任以外の方法により責任の追及を検討しなければなりません。

裁判例においても、以下の事案において、「隠れた瑕疵」該当性が否定されています。

裁判例 瑕疵の種類 事案の内容
東京地判平成23年1月27日
判タ 1365号124頁①事件
油分 買主が、土地の一部に「揮発性の高い油臭あり。」などと記載された報告書の情報等について第三者を通じて認識していた事案
東京地判平成22年 8月30日
ウエストロー・ジャパン
基礎杭 買主に、全体杭置図及び基礎杭が残置されていること等が記載された重要事項説明書が交付された事案
東京地判平成22年 3月26日
ウエストロー・ジャパン
油分 買主は、土地の一部の地表から68mg/kgないし1900mg/kgの濃度のTPH(油分)が検出されていることを知っていた事案
東京地判平成20年5月29日
ウエストロー・ジャパン
冷蔵倉庫の基礎と考えられる大量の発泡スチロールや土間コンクリート 買主による物件の内覧の際に売主の管理部長が土地上の建物の用途を「冷蔵庫ではないかと思う」と説明した事案
東京地判平成20年9月24日
ウエストロー・ジャパン
ガラやごみ等 買主(不動産業者)が本件土地上に窯業・土石製品製造業の工場が存在していたことを認識しており、また、地質調査報告書添付の現場写真から地中に埋まっているガラやごみ等の存在を看守し得た事案
東京地判平成19年 8月28日
ウエストロー・ジャパン
鉛及びその化合物 買主が土壌汚染問題の存在の可能性を示唆する内容の報告書を受領していた事案

本件でも、重要事項説明書に土壌汚染・地中埋設物があると記載されていたということですから、土地引渡し後に土壌汚染・地中埋設物が発見されても、これらは隠れた瑕疵にあたらない可能性が高いと考えられます。

ただし、このような場合においても、重要事項説明書に記載された土壌汚染・地中埋設物は、土地引渡し後に発見された土壌汚染・地中埋設物とは別の物を指しているということを立証できれば、隠れた瑕疵にあたると判断される場合もあります(東京地判平成24年9月13日ウエストロー・ジャパン、東京地判平成9年5月29日判タ961号201頁)。

過去の裁判例

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