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地中における建物の基礎、杭等の埋設物の除去費用に関する損害賠償請求権が時効により消滅した事例

一般に、土地の売買契約締結後に、地中に、土壌汚染や地中埋設物が存在することが判明した場合は、買主は、売主に対し、瑕疵担保責任に基づいて多額の損害賠償請求をすることができる可能性があります。

しかしながら、以下の事例の下関市土地開発公社のように、一定期間を経過した後は買主の請求が認められない可能性もあります。

すなわち、買主は、瑕疵の存在を理由として土地の売主の瑕疵担保責任を追求する場合、以下の期間制限に服することになります。

  • ① 土地の引渡しから10年(ただし商行為の場合は5年)で時効にかかります。
  • ② 商人間の売買では、買主は、土地引渡し後6か月以内に瑕疵の原因となる土壌汚染や地中埋設物を発見し、売主に通知する必要があります。
  • ③ 土壌汚染や地中埋設物の発見から1年以内に損害賠償請求をする必要があります。

ただし、これらの期間制限の内容については、契約により変更することができますので、上記の期間を経過しているからといって、直ちに請求をあきらめるべきではありません。いずれにしましても、請求の当否のご判断には専門家の法的アドバイスが必要となりますので、手遅れとなってしまわないよう、お早めにご相談いただきますよう宜しくお願いいたします。

裁判例 山口地判平成24年1月31日判例地方自治360号74頁
事案の概要 Aは、Bの所有地(遊園地跡地)を国立病院の移転用地とするため、下関市及び同市土地開発公社を介して、同土地を購入した。Bは、同土地引き渡し前に、建設会社に依頼して、3億6225円をかけて同土地上の構築物の解体工事を実施した。しかしながら、その後、Bが地中埋設物の調査を行なったところ、地中埋設物(ジェットコースターの基礎、屋外プール、ボーリング場の杭、スケートリンクの基礎、底盤等)が広範囲にわたって存在することが判明した。Aは、将来の病棟の増改築の場合に問題を残さないため、建物基礎部分のみならず敷地全体の地中埋設物を撤去することとし、撤去工事費用として1億1550万円を支払った。そこで、Aは、直接の売主となる下関市に対し、同市土地開発公社は、Bに対し、それぞれ損害の賠償を求めて訴訟を提起した。
判決の概要 買主としては、病院建設の支障となるような地中埋設物が存在しないと認識していたとしてもやむを得ないとして、上記の地中埋設物を瑕疵にあたると判断した。そこで、下関市には、Aに対する、敷地全体の地中埋設物の撤去工事費用1億1550万円の賠償義務を認めた。他方、下関市土地開発公社のBに対する損害賠償請求については、土地引き渡しから5年の経過によって時効消滅していると判断された。
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