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土壌汚染に強い弁護士トップ > FAQ > 土地売買前の留意点について > 地中にガラ等の産業廃棄物が埋まった土地を売ろうと考えています。重要事項説明書や売買契約書で、売主の瑕疵担保責任を免除すると規定しておけば買主から責任を問われることはありませんか。

地中にガラ等の産業廃棄物が埋まった土地を売ろうと考えています。重要事項説明書や売買契約書で、売主の瑕疵担保責任を免除すると規定しておけば買主から責任を問われることはありませんか。

いいえ。瑕疵担保責任免除特約は無効と判断される場合があります。

解説

瑕疵担保責任に関する内容は、当事者間の特約によって変更することができます。したがいまして、売主の瑕疵担保責任を全て免除する特約(瑕疵担保責任免除特約)や軽減する特約(瑕疵担保責任限定特約)のいずれも原則として有効です(東京地判平成15年5月16日)。

しかし、これらの特約がどんな場合にも有効となるわけではありません。

民法上、瑕疵担保責任免除特約が締結されていた場合であっても、売主が瑕疵の存在を知りながら告げなかった事実等には売主は免責されないと規定されておりますが(民法572条)、裁判例においては、買主保護の観点から、より広く、瑕疵担保責任免除特約を失効させる解釈を行っています。

具体的には、裁判所は、以下の事案において、瑕疵担保責任免除特約の成立を認めず、あるいは特約の効力を失わせ、売主に賠償義務を負わせています。

裁判例 事案の内容
東京地判平成20年3月31日
ウエストロー・ジャパン
瑕疵担保責任免除特約の締結にあたって、売主が瑕疵の存在を知りながら買主に告げなかった。
東京地判平成19年9月27日
ウエストロー・ジャパン
売主・買主が、売買契約前の汚染処理工事によって瑕疵が除去されたことを前提として瑕疵担保責任免除特約を締結した。
札幌地判平成17年4月22日
判タ1203号189頁
重要事項説明書に、売主であるBは瑕疵担保責任を負わないと記載されていたものの、契約書において瑕疵担保責任免除特約を合意しなかった。
静岡地判平成15年8月19日
判タ1187号247頁
買主が実印を押印して提出した書面には、売主の瑕疵担保責任を免除する内容の記載があったが、売主がこの文言を買主に十分に理解させたうえで承諾してもらう手続を踏まなかった。
東京地判平成15年 5月16日
判時 1849号59頁
瑕疵担保責任免除特約が合意されていたものの、土地引渡し後に発見された地中埋設物は、従前売主が依頼した業者による建物の解体・撤去の際に残置されたものであった。

上記の裁判例を前提とすると、本件については、売主の立場として、買主に瑕疵担保責任を免除してもらいたい場合、以下の点に留意する必要があると思います。

  • ① 重要事項説明書で、「売主は瑕疵担保責任を負わない」と記載するだけでは不十分であり、売主・買主双方が調印する売買契約書において瑕疵担保責任免除特約の内容を記載しておくべき。
  • ② 瑕疵担保責任免除特約の適用対象場面については、具体的に規定するべき(現状売主側で把握している地中埋設物のみに関する瑕疵担保責任を免除させる趣旨なのか、あるいはこれ以外の瑕疵が発見された場合にも一切の瑕疵担保責任を免除させる趣旨なのか等)。
  • ③ 売買契約締結前に、買主に対し、瑕疵担保責任免除特約の内容についてよく説明しておくべき。
  • ④ 売買契約締結前に、買主に対し、瑕疵の存在について認識している情報(土地にガラ等の産業廃棄物が埋設されていること等)を説明すべき。

裁判所は、土地の売買契約の解釈においては、買主側を保護する傾向にありますので、土壌汚染又は地中埋設物に関する売主の瑕疵担保責任を免責しようとする場合には、上記のように、契約書の内容のみならず相手方との交渉方法も含めて細心の注意を払う必要があります。

さらに、瑕疵担保責任免除特約が有効と判断される場合であっても、売主の立場では、説明義務違反や土壌汚染浄化義務違反・地中埋設物除去義務違反等、瑕疵担保責任以外の責任を問われる可能性は残りますので、この点については別途対策が必要となります。

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