土壌汚染に強い弁護士トップ > 土壌汚染・地中埋設物の基礎知識 > 土地売買交渉の要注意事項 > 売主の責任の期間制限に要注意(買主の方)
買主は、瑕疵の存在を理由として土地の売主の瑕疵担保責任を追求する場合、以下の期間制限に服することになります。
このうち、②の、いわゆる買主の検査通知義務は、事業者間の取引において土地の売主の瑕疵担保責任を追及しようとする買主にとって最も注意すべきポイントのうちの一つです。事業者間の取引において、土地の買主が、検査通知義務を怠れば売主の瑕疵担保責任を追及することはできなくなります。
もっとも、土壌汚染も地中埋設物も、いずれも地表を見ただけではその有無を確認することはできませんので、専門的な調査が必要となりますし、相当程度調査期間もかかります。広大な土地を売買した場合などにおいては、長期の調査期間を見込まねばならないケースもあるでしょう。
そうすると、買主としては、土地の引渡し直後から土壌汚染調査・地中埋設物調査を実施しないと土地引渡し後6か月以内に瑕疵の原因となる土壌汚染や地中埋設物を発見することができない場合もあり得るのです。土地の買主の方は、少なくとも、多額の資金を投じて広大な土地を事業用地として購入するような重要な取引を行った場合などには、簡易なものでも結構ですので、土地引渡し後速やかに土壌汚染調査・地中埋設物調査を実施することを強くお勧めします。
また、③についても注意が必要です。③の期間制限のことを除斥期間といいます。除斥期間内に権利行使をしないとやはり権利は消滅することになります。時効の場合、期間内に裁判上の権利行使をしなければなりませんが、除斥期間の場合には、期間内に裁判外で権利行使すれば、売買の目的物の引き渡しを受けたときから進行する時効期間の満了によって請求権が消滅するまでの間、瑕疵担保責任を追及できることになります。
具体的には、瑕疵担保による損害賠償請求権を保存するには、除斥期間内に、売主の担保責任を問う意思を裁判外で明確に告げることをもって足ります(最判平成4年10月20日民集46巻7号1129頁)。
そして、売主の担保責任を問う意思を裁判外で明確に告げたとして損害賠償請求権の保全が認められるためには、瑕疵担保に基づく損害賠償請求権の発生原因となる瑕疵の内容を明確にして損害賠償請求権を特定するとともに、請求する損害額を算定根拠とともに明示する等の方法により、損害賠償請求を明確にする必要があるといわれています(最判平成4年10月20日民集46巻7号1129頁)。
そうすると、土地の買主は、土壌汚染や地中埋設物の発見から1年以内に土壌汚染や地中埋設物の処理数量を確定して浄化工事や除去工事を実施し、あるいは見積もりを取得する等の方法により、具体的に相手方に対して損害賠償請求をするための準備を一通り完了させておく必要があります。