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購入した土地の地中にアスベストが埋設されていた場合、売主に対して除去費用を請求することができますか。

地中におけるアスベストの存在によって廃棄物や土壌汚染の処理に関する費用が高額化する等、土地の外見から予測できないような過分の費用が発生するような場合には、原則として土地の瑕疵にあたりますので、瑕疵担保責任等に基づいて売主に除去費用等の賠償を求めることができる場合があります。

解説

土地の売買契約締結後に、地中に、土壌汚染や地中埋設物が存在することが判明した場合は、買主は、売主に対し、民法上の瑕疵担保責任に基づいて土壌汚染浄化費用や地中埋設物除去費用等について損害賠償請求をすることができる可能性があります。

瑕疵担保責任に基づいて損害賠償請求をするためには、地中に存在する土壌汚染や地中埋設物が瑕疵にあたるといえなければなりません。

それでは、地中にアスベストが埋設されていることは土地の瑕疵になるのでしょうか。

瑕疵とは、売買の目的物が、その種類のものとして取引通念上通常有すべき品質を欠いていることをいいます。

まず、法令の規制基準値があるような有害物質については、同基準値を超える含有量が検出された場合には、その程度の如何を問わず土地の瑕疵に該当するものとされております(東京地判平成18年9月5日判タ1248号230頁等)。

石綿(アスベスト)は、耐火被覆用の吹付け石綿、石綿含有保温材、石綿含有断熱材などの多くの建材に用いられてきましたが、肺がん、中皮腫などの原因となると言われ、段階的に禁止又は使用中止されてきました。アスベストは、そこにあること自体が直ちに問題なのではなく、飛び散ること、吸い込むことが問題となるため、労働安全衛生法や大気汚染防止法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律などで飛散防止等が図られています。

このように、地中に存在する石綿の量に関する直接的な法規制は存しませんので、上記の基準からすると地中におけるアスベストの存在は瑕疵にあたらないように思われます。

東京地判平成24年9月27日判時2170号50頁も、売買契約締結当時の法令上の規制の対象とならないこと等を根拠に、アスベストを含有する土壌あるいは建設発生土の存在を瑕疵にあたらないと判断しました。

他方で、裁判例においては、一般論として、宅地の売買において、地中に土以外の異物が存在する場合一般が、直ちに土地の瑕疵を構成するとはいえないが、その土地上に建物を建築するにあたり支障となる質・量の異物が地中に存するために、その土地の外見から通常予測され得る地盤の整備・改良の程度を越える特別の異物撤去工事等を必要とする場合には、土地の瑕疵になると述べられております(東京地判平成4年10月28日判タ831号159頁、東京地判平成10年11月26日判時1682号60頁、東京地判平成14年9月27日ウエストロー・ジャパン、札幌地判平成17年4月22日判タ1203号189頁等)。

地中にアスベストが存在すれば、マンション建設等のために土地を掘削し、あるいは廃棄物処理作業の実施する際に、作業中にアスベストが飛散することのないように留意する必要が生じますので、これらの観点から予想外の費用が発生することはあり得ます。このように、地中におけるアスベストの存在によって土地の外見から予測できないような過分の費用が発生するような場合には、上記の判断基準に照らして瑕疵にあたると判断されるケースもありえます。

東京地判平成20年9月24日ウエストロー・ジャパンも、地中に存在する石綿の量に関する直接的な法規制は存しないものの、アスベスト等の存在やアスベスト等が存在することによって廃棄物や土壌汚染の処理に関する費用が高額化したことを瑕疵に該当すると判断しています。

なお、買主は、瑕疵の存在を理由として土地の売主の瑕疵担保責任を追求する場合、以下の期間制限に服することになりますのでご注意ください。

  • ① 土地の引渡しから10年(ただし商行為の場合は5年)で時効にかかります。
  • ② 商人間の売買では、買主は、土地引渡し後6か月以内に瑕疵の原因となる土壌汚染や地中埋設物を発見し、売主に通知する必要があります。
  • ③ 土壌汚染や地中埋設物の発見から1年以内に損害賠償請求をする必要があります。

仮に、期間制限を経過してしまった等の理由で売主の瑕疵担保責任を追及できない場合には、買主としては、売主の説明義務違反や浄化義務違反・除去義務違反を主張して除去費用の賠償を求めることができる場合があります。

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