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購入した土地に油分が存在する場合、売主に処理費用を請求できますか。

油分の濃度や量によっては瑕疵担保責任等に基づいて売主に除去費用等の賠償を求めることができる場合があります。

解説

土地の売買契約締結後に、地中に、土壌汚染や地中埋設物が存在することが判明した場合は、買主は、売主に対し、民法上の瑕疵担保責任に基づいて土壌汚染浄化費用や地中埋設物除去費用等について損害賠償請求をすることができる可能性があります。

瑕疵担保責任に基づいて損害賠償請求をするためには、地中に存在する土壌汚染や地中埋設物が瑕疵にあたるといえなければなりません。

それでは、油分による土壌汚染が存在することは土地の瑕疵になるのでしょうか。

瑕疵とは、売買の目的物が、その種類のものとして取引通念上通常有すべき品質を欠いていることをいいます。

油分は、有害物質とは異なり、土壌に一定量以上存在するだけで健康被害をもたらす危険を有するものではありませんが、その土地の土壌に、地表に油臭や油膜を生じさせて居住者等に不快感、違和感を抱かせる可能性がありますし、土壌を産業廃棄物として処理しなければならない程度の濃度・量の油分が含まれていれば、その処理に、単なる土砂として土砂処分場に搬入処理するときよりも多額の費用がかかるのが通常ですので、土壌に含まれる油分の濃度や量によっては土地の瑕疵に該当する場合があります(東京地判平成22年3月26日ウエストロー・ジャパン)。

その場合、売主は、買主に対し、瑕疵担保責任に基づき、処理費用等の損害賠償義務を負う可能性があります。

ただし、油分による土壌汚染については、環境基準その他の法令上の基準は定められておらず、国の諮問機関である中央環境審議会が平成18年3月にとりまとめた「油汚染対策ガイドライン‐鉱油類を含む土壌に起因する油臭・油膜問題への土地所有者等による対応の考え方‐」が存するにとどまりますので、有害物質のように、「この基準値を超えたら瑕疵にあたる」という画一的な判断基準がありません。

したがいまして、裁判実務においては、油分による土壌汚染が瑕疵に該当するか否かについては、以下の通り、水質汚濁防止法3条1項及び3項による排出基準、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令第6条1項4号に規定する油分を含む産業廃棄物に係る判定基準を定める省令1条1号による海洋投棄基準、諸外国のTPH濃度基準等も参考にしながら事案に応じた判断を行っています。

油分による土壌汚染が瑕疵に該当すると判断した裁判例

裁判例 瑕疵に該当すると判断した根拠 判断基準に用いられた法令等
東京地判
平成21年3月19日
ウエストロー・ジャパン
  • 土地から湧出した液体を分析したところ、鉱油、動植物油等の量を示す指標であるヘキサン抽出物質が140mg/lの高濃度で含まれていた。
  • 建設会社が土地から掘削した土壌を普通の土として処理しようとしたところ処分業者から拒絶された。
水質汚濁防止法3条1項及び3項による排出基準では、鉱油類は2~5mg/l以下とされている。
東京地判
平成18年11月28日
ウエストロー・ジャパン
  • 油分の溶出量が15mg/lを超過していた。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令第6条1項4号に規定する油分を含む産業廃棄物に係る判定基準を定める省令1条1号による海洋投棄基準では、油分の溶出量15mg/l以下とされている。
東京地判
平成22年3月26日
ウエストロー・ジャパン
  • 土砂を土砂処分場に搬入して処分しようとしたところ土砂に油臭があることを理由に受入れを拒否された。
  • 土砂の一部をバケツに入れて水を注いだところ、油膜を生じた。
  • 各地点において160mg/kgないし2600mg/kgの濃度のTPHが検出された。
TPH濃度については、日本を含む多くの国が基準値を定めていないが、一般的にはTPH濃度が5000mg/kgを超えると油膜や油臭が出ることが多くなり、オランダではTPH濃度が5000mg/kgを超えると措置を講じるよう指導する取り扱いをしており、韓国でも浄化基準として5000mg/kg、要監視基準として2000mg/kgを定めているものと言われている。

なお、買主は、瑕疵の存在を理由として土地の売主の瑕疵担保責任を追求する場合、以下の期間制限に服することになりますのでご注意ください。

  • ① 土地の引渡しから10年(ただし商行為の場合は5年)で時効にかかります。
  • ② 商人間の売買では、買主は、土地引渡し後6か月以内に瑕疵の原因となる土壌汚染や地中埋設物を発見し、売主に通知する必要があります。
  • ③ 土壌汚染や地中埋設物の発見から1年以内に損害賠償請求をする必要があります。

仮に、期間制限を経過してしまった等の理由で売主の瑕疵担保責任を追及できない場合には、買主としては、売主の説明義務違反や浄化義務違反・除去義務違反を主張して除去費用の賠償を求めることができる場合があります。

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