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土壌汚染に強い弁護士トップ > FAQ > 土地売買前の留意点について > 自主的に土地の土壌汚染の調査を行いました。土地を売却する際は、この調査の結果を買主に説明しておくべきでしょうか。

自主的に土地の土壌汚染の調査を行いました。土地を売却する際は、この調査の結果を買主に説明しておくべきでしょうか。

説明すべきですし、調査報告書が存在する場合は、同報告書を交付しておくべきです。

解説

本件の売主は、土地引渡し前に土壌汚染調査を行うのですから、当該調査により、土壌汚染の存在を認識してしまう可能性があります。また、土壌汚染調査によって土壌汚染の存在が判明しなかったとしても、調査報告書には、土地の来歴や従前からの利用方法等、地中埋設物・土壌汚染の存否を判断する上で重要な情報が記載されている可能性があります。

このように、土壌汚染調査を実施した場合、その調査報告書には土地に関する重要な情報が含まれている可能性がありますので、可能な限り売買契約締結前に調査報告書を買主に交付して内容について説明しておくべきでしょう。

売主が、買主に対して、このような調査報告書を交付せず、また、その内容について一切説明しなかった場合には、売主としては、土地引渡し後、様々な制裁を受ける可能性があります。

まず、瑕疵担保責任を免除する特約(瑕疵担保責任免除特約)は、特約締結時に売主が瑕疵の存在を知りながら買主に告げなかった場合等には無効となりますので、仮に、売買契約書において売主の瑕疵担保責任を免除する特約(瑕疵担保責任免除特約)が定められていた場合には、同特約が無効となり瑕疵担保責任に基づき賠償義務を負う可能性があります。

また、瑕疵担保責任ではなく説明義務違反に基づいて賠償義務を負う可能性もあります。

説明義務は、契約締結の過程において、売主となろうとする者が、買主となろうとする者に対して負担する義務です。

現在の裁判例を踏まえると、一般論として、以下のとおり売主に説明義務が課されると考えることができると思います。

  土地の売却時の状況 土地の売却時に売主に
課される義務の内容
裁判例
売主が地中埋設物・土壌汚染の存在を認識している。 地中埋設物・土壌汚染があることを説明すべき。 大阪高判平成25年7月12日判時2200号70頁、東京地判平成23年 1月20日ウエストロー・ジャパン、東京地判平成20年 6月23日ウエストロー・ジャパン
売主が地中埋設物・土壌汚染の存在の可能性を認識している。 地中埋設物・土壌汚染が存在する可能性があることを説明すべき。 東京地判平成25年1月21日ウエストロー・ジャパン、広島高判平成24年6月28日
売主が自ら地中埋設物・土壌汚染を発生せしめる蓋然性のある方法で土地の利用をしていた。 土地の来歴や従前からの利用方法を説明すべき。 東京地判平成18年 9月 5日判タ 1248号230頁
売主が買主から地中埋設物・土壌汚染の存否について問い合わせを受けた。 「問題ないと思う」などの不用意な回答は避けるべき。売主として土地に関して認識しうる情報を精査して質問に回答すべき。 東京地判平成15年 5月16日判時 1849号59頁

本件の売主は、土地引渡し前に土壌汚染調査を行うのですから、当該調査により、土壌汚染の存在を認識してしまう可能性があります。その場合、上記①に該当する可能性があります。また、土壌汚染調査によって土壌汚染の存在が判明しなかったとしても、調査報告書には、土地の来歴や従前からの利用方法等、地中埋設物・土壌汚染の存否を判断する上で重要な情報が記載されている可能性があり、このような場合には上記②や③に該当する可能性もあります。

このような場合に、土地の売主が、買主に対して、上記①~③の「土地の売却時に売主に課される義務の内容」欄に記載された説明を怠れば、売主には、説明義務違反に基づいて賠償義務を負わされる可能性があります。

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