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ヒ素について、売主の瑕疵担保責任を否定しながらも汚染浄化義務を認めて7140万円の賠償義務を認めた事例

以下の事例では、売主が、本件土地に環境基準値を上回るヒ素が含まれている土地であることを事前に知っていたことを理由として、売主は、信義則上、売買契約に付随する義務として土地の土壌中のヒ素について環境基準値を下回るように浄化して買主に引き渡す義務(土壌汚染浄化義務)を負うと判断されました。

以下の事例のように、土地引渡し前に浄化工事を行い、あるいは土地引渡し前に行った土壌汚染調査において土壌汚染の存在が確認されなかった場合においても、土地引渡し後の調査で土壌汚染の存在が判明してしまうケースは実務上よく見られます。土壌汚染浄化義務は、説明義務と異なり、土壌汚染を浄化することそのものを契約上の義務と捉える考え方であり、買主に対し、ヒ素による土壌汚染が存在することや浄化工事を行ったこと等を説明しても免責されないと思われます。

土壌汚染浄化義務違反に基づき土地売主に損害賠償を求める場合は、債務不履行責任によることになりますから、商行為によって生じた債権に該当するならば、商事消滅時効の5年、これに該当しない一般の民法上の債権ならば、民法の原則どおり10年の消滅時効にかかることになります。さらに、瑕疵担保責任と異なり、買主には、土地引渡し後6か月以内に瑕疵の原因となる土壌汚染を発見し売主に通知する義務(買主の検査通知義務)は課せられませんし、土壌汚染の発見から1年間の期間制限もありません。

このように、土壌汚染浄化義務が認められると売主にとっては非常に過酷な義務が課されることになりますので、売主の立場としては、このような義務を認められることのないよう、売買契約書の内容については、締結前に専門家のリーガル・チェックを受ける等、細心の注意を払う必要があります。

裁判例 東京地判平成20年11月19日判タ1296号217頁
事案の概要 Bは、土地を売却するために、同土地の所在する東京都板橋区役所と相談して、業者に依頼して土壌汚染調査を実施したところ、複数の箇所からヒ素が検出された。そこで、Bは、専門業者に依頼して浄化工事を完了し、同専門業者の孫請業者の調査結果により土壌のヒ素が環境基準値を下回る旨の調査報告を受けた。その後、Aは、戸建て住宅分譲事業を行なうことを目的として、Bより、上記の土地を購入し、同土地をCに転売した。Cは、業者に依頼したところ複数の箇所から高濃度のヒ素が検出された。そこで、Aは、Bに対し、損害の賠償を請求した。なお、AB間の売買契約書には、Bの瑕疵担保責任を、上記の土地の引渡し後6か月に制限する旨の瑕疵担保責任制限特約がある。
判決の概要 まず、土地引渡しから6か月を経過しているため、上記の瑕疵担保責任制限特約により、Aは、Bに対して瑕疵担保責任を追及することはできないとした(仮に売主がヒ素の残留を知らなかったことについて重過失があるとしても瑕疵担保責任制限特約の効力は否定されることはないと判断した。)。しかしながら、Bは、上記の土地に環境基準値を上回るヒ素が含まれている土地であることを事前に知っていたのであるから、信義則上、売買契約に付随する義務として、土地の土壌中のヒ素につき環境基準値を下回るように浄化してAに引き渡す義務を負い、Bは、かかる汚染浄化義務違反を怠ったため、Aに対し、地下1mまでの部分の土壌調査費用及び浄化処理費用合計7140万円の賠償義務を負うと判断した。
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