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地中埋設物の存在可能性について説明義務違反を認め991万2750円の賠償義務を認めた事例

以下の事例のように、土地の売主が、過去に解体業者に依頼して売買目的土地上の建物の解体工事を実施した経験を有する場合、建物の解体・撤去の態様によっては、売買目的土地に地中埋設物が残存している可能性があります。このような場合、土地の売主としては、少なくとも、買主から地中埋設物の存否の可能性について問い合わせがあったときは、誠実にこれに関連する事実関係について説明すべき債務を負っているというべきですし、地中埋設物の存在可能性について全く調査をしていなかったにもかかわらず、問題はないなどといった不用意な回答をすれば、以下の事例のように説明義務違反と判断される可能性は高まります。

また、以下の事例は、土地買主が、不動産の売買・仲介・管理等を業とする株式会社であり、不動産取引のプロといえる立場にありましたが、それでも土地売主(各種ガラス製品の製造、販売等を目的とする株式会社)に説明義務違反を認め、約1000万円もの高額な賠償義務を認めました。

このように、説明義務は、宅地建物取引業者等の不動産取引のプロが土地を売却する場合のみならず、アマがプロに土地を売却する場合にも課される可能性のある義務であることに留意する必要があります。

説明義務違反の法律構成は、契約関係にない者の間の義務に違反したものとして不法行為とする構成のほか、売買契約における付随義務とみて債務不履行責任と構成されることもあります。

説明義務違反による損害賠償を不法行為と構成するときは、買主が損害を知った時を起算点として、3年経過すると時効消滅します。また、債務不履行責任として構成する場合は、商行為によって生じた債権に該当するならば、商事消滅時効の5年、これに該当しない一般の民法上の債権ならば、民法の原則どおり10年の消滅時効にかかることになります。

他方、瑕疵担保責任と異なり、説明義務違反に基づき損害賠償請求をする場合には、買主には、土地引渡し後6か月以内に瑕疵の原因となる土壌汚染や地中埋設物を発見し売主に通知する義務(買主の検査通知義務)は課せられませんし、土壌汚染や地中埋設物の発見から1年間の期間制限もありません。

裁判例 東京地判平成15年 5月16日判時 1849号59頁
事案の概要 A(不動産の売買・仲介・管理等を業とする株式会社)は、B(各種ガラス製品の製造、販売等を目的とする株式会社)より購入した土地の地中に、従前本件土地に存在していた建築物の一部分と思われるコンクリート等の地中埋設物が発見されたとして、Bに対し、瑕疵担保責任に基づいて、また、仮に瑕疵担保責任が認められないとしても、Bには、本件土地の売買に際して、信義則に基づき、地中埋設物の存在可能性について正確な説明を行うべき義務があったのに、簡単な調査検討等もせずに、説明義務を果たさなかったとして説明義務違反による損害賠償請求権に基づいて、支出を余儀なくされた地中埋設物除去費用及び地盤改良費用等合計1064万3010円の損害の賠償等を求めた。なお、本件売買契約においては、Bの申し入れにより、特約として「買主の本物件の利用を阻害する地中障害の存在が判明した場合、これを取り除くための費用は買主の負担とする。」旨の、いわゆる瑕疵担保責任免除特約が定められた。
判決の概要 B自身が建物解体業者に依頼して行った建物の解体・撤去の態様によれば地中に地中埋設物が残置される可能性があったことは明らかであるし、Bにおいてこれを把握することもまた極めて容易であったため、Bには、地中埋設物の存在を知らなかったことについて悪意と同視すべき重大な過失がある等と認定し、民法572条を類推適用して上記の瑕疵担保責任免除特約にもかかわらず、Bの瑕疵担保責任を認めた。
さらに、Bは、Aから地中埋設物の存否の可能性について問い合わせがあったときは、誠実にこれに関連する事実関係について説明すべき債務を負っていたにもかかわらず、Bは、Aからの地中埋設物がない旨の確認の問いかけに対し、地中埋設物の存在可能性について全く調査をしていなかったにもかかわらず、問題はない旨の事実と異なる意見表明をしたものであるからはに説明義務違反の債務不履行があると認定した。
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