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土地の来歴や従前からの利用方法について説明義務違反を認め7545万4800円の賠償義務を認めた事例

以下の事例のように、土地の売主が、自ら土壌汚染を発生せしめる蓋然性のある方法で土地の利用をしていた場合には、売買契約を締結するにあたって、土地の来歴や従前からの利用方法について、買主に対して何ら告知・説明しなかった場合、当該土地売主は、説明義務を怠ったものとして、土地の売買契約締結後に存在が判明した地中埋設物や土壌汚染の除去費用等について賠償義務を負う可能性があります。

売主が企業である場合、売買契約締結交渉担当者が地中埋設物又は土壌汚染の存在を隠蔽するつもりがなくとも、従業員間の引き継ぎ等のコミュニケーション不足等の理由により、意図せず説明義務違反に陥ってしまうことが往々にしてあります。このように、土地の売買契約締結の際には、自社が同土地に関して認識している情報を十分に洗い出しておく作業が必須となります。

説明義務違反による損害賠償を不法行為と構成するときは、買主が損害を知った時を起算点として、3年経過すると時効消滅します。他方、瑕疵担保責任と異なり、説明義務違反に基づき損害賠償請求をする場合には、買主には、土地引渡し後6か月以内に瑕疵の原因となる土壌汚染や地中埋設物を発見し売主に通知する義務(買主の検査通知義務)は課せられませんし、土壌汚染や地中埋設物の発見から1年間の期間制限もありません。

裁判例 東京地判平成18年 9月 5日判タ1248号230頁
事案の概要 Aの地位を承継したA’は、AがBより購入した土地に土壌汚染が生じていたとして、Bに対し、主位的に錯誤に基づく本件売買契約の無効を主張し、予備的に瑕疵担保責任ないし債務不履行責任に基づいて土壌調査及び土壌浄化費用の賠償等を求めた。
判決の概要 土地引渡後6か月の期間制限(検査通知義務)の徒過により、Bの瑕疵担保責任は否定された。
他方、土壌汚染の有無の調査は、一般的に専門的な技術及び多額の費用を要するものであるため、買主が同調査を行うべきかについて適切に判断をするためには、売主において土壌汚染が生じていることの認識がなくとも、土壌汚染を発生せしめる蓋然性のある方法で土地の利用をしていた場合には、土地の来歴や従前からの利用方法について買主に説明すべき信義則上の付随義務を負うべき場合もあると解されるとして、Bは、本件土地の利用形態について説明・報告すべき信義則上の付随義務を負っており、同義務に違反したと認定された。
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