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瑕疵担保責任免除特約にもかかわらず地中における産業廃棄物の存在を瑕疵と認め185万4000円の賠償義務を認めた事例

以下の事例のように、土地の売買契約締結後に、地中に、廃材、カン、ガラス、コンクリートガラ、ビニール、紙、ぼろ切れなどの地中埋設物が存在することが判明した場合は、買主は、売主に対し、多額の損害賠償請求をすることができる可能性があります。

以下の事例においては、売買契約において、売主の瑕疵担保責任を免除する、いわゆる瑕疵担保責任免除特約が締結されていましたが、同特約の存在にもかかわらず、売主の瑕疵担保責任が認められました。

裁判所は、本件を含め、以下の事案において、瑕疵担保責任免除特約の成立を認めず、あるいは特約の効力を失わせ、売主に賠償義務を負わせています。

裁判例 事案の内容
東京地判平成20年3月31日
ウエストロー・ジャパン
瑕疵担保責任免除特約の締結にあたって、売主が瑕疵の存在を知りながら買主に告げなかった。
東京地判平成19年9月27日
ウエストロー・ジャパン
売主・買主が、売買契約前の汚染処理工事によって瑕疵が除去されたことを前提として瑕疵担保責任免除特約を締結した。
札幌地判平成17年4月22日
判タ1203号189頁
重要事項説明書に、売主であるBは瑕疵担保責任を負わないと記載されていたものの、契約書において瑕疵担保責任免除特約を合意しなかった。
静岡地判平成15年8月19日
判タ1187号247頁
買主が実印を押印して提出した書面には、売主の瑕疵担保責任を免除する内容の記載があったが、売主がこの文言を買主に十分に理解させたうえで承諾してもらう手続を踏まなかった。
東京地判平成15年 5月16日
判時 1849号59頁
瑕疵担保責任免除特約が合意されていたものの、土地引渡し後に発見された地中埋設物は、従前売主が依頼した業者による建物の解体・撤去の際に残置されたものであった。

このように、裁判所は、土地の売買契約の解釈においては、買主側を保護する傾向にありますので、土壌汚染又は地中埋設物に関する売主の瑕疵担保責任を免責しようとする場合には、単に「売主は瑕疵担保責任を負わない」と記載するだけでは不十分であり、契約書の内容のみならず相手方との交渉方法も含めて細心の注意を払う必要があります。そのため、専門家の法的アドバイスは不可欠でしょう。

なお、買主は、瑕疵の存在を理由として土地の売主の瑕疵担保責任を追求する場合、以下の期間制限に服することになりますのでご注意ください。

  • ① 土地の引渡しから10年(ただし商行為の場合は5年)で時効にかかります。
  • ② 商人間の売買では、買主は、土地引渡し後6か月以内に瑕疵の原因となる土壌汚染や地中埋設物を発見し、売主に通知する必要があります。
  • ③ 土壌汚染や地中埋設物の発見から1年以内に損害賠償請求をする必要があります。
裁判例 東京地判平成20年3月31日ウエストロー・ジャパン
事案の概要 Aは、Bより土地と建物を1736万円で購入した。その後、同土地に、廃材、カン、ガラス、コンクリートガラ、ビニール、紙、ぼろ切れ等の大量の産業廃棄物が存在していることが判明が存在していることが判明した。Aは、これらの撤去費用として930万円を支出したため、Bに対し、瑕疵担保責任に基づき損害の賠償を求めた。
判決の概要 土地に産業廃棄物が埋設されているということは、土地の瑕疵にあたるとして、Bに土地に設置されたスロープ部分に埋まっていた産業廃棄物の撤去費用185万4000円の賠償義務を認めた。なお、本件では、売主が瑕疵担保責任を負わない旨の特約が締結されていたものの、売主は、従前、第三者がスロープ部分に産業廃棄物を埋設することを許容していたため、契約時にスロープ部分に産業廃棄物が埋まっていたことは知っていたと判断され、上記特約による免責は認められませんでした。
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